脳脊髄液減少症とは、脳脊髄液が“減少状態”になるために頭痛をはじめとする種々の症状が出現する疾患です。
厚生労働省研究班から以下の概念図の提案ありました。
【病名について】
〈低髄液圧症〉 急性の強い起立性頭痛が特徴的
・起立性頭痛(強い)
・髄液圧低下(6cm水柱未満)
・脳MRI(造影)にて、びまん性硬膜肥厚所見・静脈拡張所見・脳下垂所見などを認める場合が多い
・保存的治療(安静臥床+水分摂取療法)が効果的であるが、病状が遷延化する場合や重症例(硬膜下血腫を伴う意識障害例など)には、ブラッドパッチ治療が必要となることも少なくない
〈脳脊髄液漏出症〉 厚労省研究班から提案された病名
“脳脊髄液減少症の中核を成すのは「脳脊髄液の漏出」であると規定し、「脳脊髄液漏出症」の画像診断基準を公表した。”
(平成26年度 総括研究報告書より)
この画像診断基準案によって髄液漏出が「確定・確実」な場合には、基準を満たした施設において保険適応としてブラッドパッチ治療を受けることが出来るようになりました。(平成28年4月より)
・起立性頭痛が中心症状と考えられているが、程度や起立性増悪までの時間は規定されていない
・脳MRI(造影)における「びまん性硬膜肥厚所見」「静脈拡張所見」は、診断項目に含まれていない
〈脳脊髄液減少症〉 脳脊髄液減少症研究会から提案された病名
・髄液量が減少していると想定される病態で、上記概念図のように低髄液圧症、脳脊髄液漏出症を含む。
・髄液漏出、髄液産生減少、髄液吸収亢進などが原因と考えられる。検査において髄液漏出の疑い例や不明瞭な例も含まれることがある。
・慢性経過した症例が多い。