【原因】
・特発性:外傷などの明らかな原因がない場合
・外傷性:交通事故、スポーツ、日常生活上の転倒・打撲、暴力など
・医原性:脊椎手術、腰椎穿刺、整体治療など
・その他:出産など
【病因・病態】
・髄液減少の病因としては、
①髄液漏出によるもの
②髄液漏出によらないもの(髄液産生減少:脱水など、髄液吸収亢進、硬膜嚢拡大など)が考えられていますがが、現時点では①が主であると考えられています。
・髄液減少状態では、座位・立位をとることで症状が増悪(いわゆる起立性増悪)する場合が多い。
これは体を起こすことで髄液漏出が増加したり、髄液が頭蓋内から脊柱管内へ移動することで頭蓋内髄液減少を引き起こすことによると考えられています。脳・脊髄は、脳神経・脊髄神経や血管などにつながれて髄液の中に浮かんだ様に存在しますが(下図)、髄液が減少するとこの“浮力作用”が減少し、脳・脊髄やそれに連なる脳神経・血管、 脊髄神経も下方に偏位したり、牽引されたりすると考えられます。これにより頭痛をはじめとする種々の症状が発現すると考えられます。また、慢性化により2次的・3次的な病状変化を誘発し、倦怠感、自律神経症状、高次脳機能症状、その他の様々な症状が発現されるのではと考えられます。このように慢性化した病状は、髄液漏出を治療しても短期間のうちに改善されないものも多く、中には不可逆的になっている病状もあるかもしれません。